第3回
 フィラリア症

 フィラリアという名前はご存知の方も多いでしょう。ですが、どういうものなのかは詳しくわからないかもしれません。そこで今回は、そのフィラリアの生態、感染時の症状、予防について書いていこうかと思います。

生態

1.フィラリア(犬糸状虫)は犬の心臓や肺の血管内に寄生し、血液中の栄養分を吸って生きる細長いそうめんのような白い虫です。成虫は雄が長さ12〜18センチ、雌が25〜30センチで、成虫の寿命は5年前後、卵を産むのではなくて、ミクロフィラリアといわれる幼虫(第1期仔虫)を産出します。

2.ライフサイクル まず成熟虫が犬の血液内にミクロフィラリア(第1期仔虫)を産出します。ミクロフィラリアは血液循環によって、全身に移動していきます。このミクロフィラリアの寿命は1〜2年で、その間に蚊に吸血されて蚊の体内で10〜14日間のうちに2回脱皮して感染仔虫(第3期仔虫)となる。この感染仔虫を持つ蚊が再び犬に吸血する際、感染仔虫が犬の体内に入り込みます。犬の体内に入った感染仔虫は皮膚の下の筋肉や脂肪に移動し、さらに2回脱皮して3〜4ヶ月して最終的に肺と心臓へ移動します。さらにこの未成熟虫(第5期仔虫)は2〜3ヶ月で成熟虫となり、ミクロフィラリアを産出するようになります。

感染時の症状

フィラリアは心臓に寄生します。心臓は全身に血液を送り出すポンプ。これが犯されてしまうため血液のめぐりが悪くなり肝臓・腎臓・肺などの調子を狂わせてしまいます。また、寄生する成虫の数、感染期間、虫体の寄生部位、犬の体格の大小などにより、症状は非常に複雑になります。

ほとんどは無症状のうちに病気が進行し、じわじわと知らないうちに犬の体をむしばみ、寿命を縮めていきます。咳が出る、非常に 疲れやすい、栄養状態や毛づやが悪いなどの症状が出たときには、障害はかなり進んでいて、やがて腹水がたまり、死に至るということにもなりかねません。
また、突然重度の咳、呼吸が速い、さらに喀血をみるという、急性のフィラリア症を起すこともあります。この場合も同様に致死率が高くなります。

予防

愛犬をフィラリアから守る最善の策は、心臓へ虫を寄生させないことです。つまり皮膚の下や筋肉で発育中の幼虫を予防薬を飲ませて殺し、予防するのです。フィラリア症の予防薬は現在、蚊の出てくる時期(地域によっては異なりますが、だいたい5or6月から)から蚊がいなくなる11月頃まで、月に1回内服薬を飲ませることで予防することができます。ただ、予防薬を飲ませる前には、フィラリアに感染していないことを検査してから飲ませましょう。

フィラリアQ&A

Qフィラリアの検査方法は?

フィラリアの検査にはまず、採血をして循環血液中にいるミクロフィラリアの有無を確認します。ミクロフィラリアは血液を顕微鏡でみることにより、確認できます。また、ミクロフィラリアがいなくても、成虫が心臓に潜んでいる場合もありますので、成虫が血液中に出す分泌物など(抗原)をキャッチして判定できるキットがありますので、それでも確認可能です。


Qフィラリアの治療方法は?

一度、フィラリアに感染してしまうと、心臓に寄生した成虫を駆除することは大変難しく、治りにくい病気になってしまいます。一応、治療方法としては、注射で成虫を駆除する方法と、手術によって取り出す方法があります。
しかし、病気が進行している場合にはどちらの方法でも犬に大きな負担がかかります。そのときの状況で判断するしかないです。


Q室内犬でも感染するのか?

このようなデータ―があります。蚊が少なく、非常に感染の機会が少ない北海道においても、室内犬で3%の感染率が報告されています。

Q犬以外でも感染するのか?

フィラリアは犬以外にも感染している例があります。ペットとして飼われているものでは猫、フェレットがあり、人間にも感染した報告があります。しかし、犬のように成虫まで成長できず、寄生期間も短いです。当院では猫、フェレットに関してもフィラリア予防を実施しています。

※フィラリアの感染率

蚊が出現する夏を1シーズン過ごしたときのフィラリア感染率は38%、2シーズンでは89%、3シーズンでは92%となり、予防せずに夏を過ぎていくと年々感染率が高くなっていきます。ちなみにデータ―は東京地区の例ですが、東京では予防がかなり徹底しているためフィラリア症をみるのがまれだそうです。蚊が多い地域ではさらに感染率が高くなりそうです。また、蚊取り線香などの殺虫剤は効果がないと思われます。外で飼育の場合は蚊に刺されるのは仕方の無いことですので、蚊に刺されないことを考えるより、月に1度、しっかり予防薬を飲ませましょう!!



 



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