猫下部尿路疾患

結石といえば猫の病気が有名です。当然犬にも尿路結石はありますが、多いのは猫ですので、それについて書いていこうと思います。

概念

 猫の尿石症または下部尿路疾患は、若齢の猫においてよくみられる疾患であり、血尿や排尿障害などの臨床症状がみられるのが特徴である。一般的にこの疾患は抗生物質や止血剤などで改善するが、その処理が遅れたり、まちがったりすると慢性の膀胱炎を繰り返したり、尿道の狭窄・閉塞などを併発して腎機能が低下し、重篤な場合には外科的な処置を行わないと腎不全により死に至ることもある。

 尿石症とは厳密にいうと、腎臓から尿管、膀胱、尿道にかけて尿石が形成された状態をさすが、同じような言葉に猫泌尿器症候群(FUS)がある。

 これは尿石症は当然であるが、尿石以外の原因で下部尿路、特に尿道が閉塞し排尿障害をおこした状態をあわせてFUSとよんでいる。ただし最近ではFUSそのものの定義があいまいであるという理由から猫下部尿路疾患(FLUTD)として統一されている。

おもな原因と特徴

 尿石症の原因としては、当然形成された”石”そのものだが、どのようにして尿路に石が形成されるのかはまだ不明な点がある。一般的には尿中に含まれる成分が何らかの原因(食餌内容や飲水量の影響)で過飽和状態となり、結晶化・析出化し結石となる場合や、尿路の細菌感染にともなって細菌や炎症によって脱落した上皮細胞が核となって結石形成を誘発する場合などがおもな原因として考えられている。他には多頭飼育しているのにもかかわらずトイレが1ヶ所で他の猫にトイレを邪魔されることによって我慢していたり、運動不足というのも原因になるかとも思われます。

 この病気の特徴として、猫における尿石症の発症はだいたい3歳から5歳ごろの雄猫によくみられる病気で、高齢の猫にはあまりみられない。形成される尿石にはいろいろある。一般的にはリン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)を主成分とする尿石がもっとも多くみられるが、このほかにもシュウ酸カルシウム、尿酸などの成分による結石も最近みられるようになった。尿石を有する動物は、尿検査によって尿中に結石を形成する前段階の結晶をみることができるので、その診断や治療効果の判定に有用である。

症状

 尿石症の症状は尿石のできる場所によって異なり、また病状や予後についても違ってくるが、猫でもっともよく尿石がみられる場所は膀胱と尿道である。膀胱結石の場合は血尿や頻尿が主であり、腎臓への影響はあまりない。しかし尿道結石の場合には、血尿や頻尿もみられるとともに排尿困難のため排尿時に疼痛がみられ、膀胱には多量の尿が貯留し、腹部の膨満がみられる。特に尿道結石の場合には処置が遅れると腎後性腎不全に陥り死亡してしまうこともある。腎結石の場合は、血尿や細菌尿が長期にわたってみられると同時に、腎機能が進行性に悪化することから十分注意する必要があり、手遅れにならないうちに適切な治療をうけることが必要である。

治療と予防

 排尿が完全に閉塞してしまうと、治療しなければ72時間以内に死亡してしまう。したがって、閉塞が生じた場合にはすぐに血液検査をして猫の安定化をはかり、閉塞の原因となっている尿道結石を除去しなければならない。閉塞がひどく、尿道が肥厚している場合、もしくは再発を起こす場合には尿道切開による手術も考慮しなければならない。閉塞を解放し、脱水を点滴によって修復できれば、状態は回復していくことでしょう。

 FUSの前歴のある猫を通常の食事にしておくと、 50~70%が繰り返し再発しています。低マグネシウムの食事(動物病院にある処方食)に変更した場合は、再発はまれである。

 FUSを発症した経験のない猫については、特にこの病気について心配がなければ、低マグネシウムの食事は不必要である。すべての猫においてFUSの予防に有効なことは、運動と頻繁な排尿の促進、肥満防止、トイレを清潔に保ってあげること、そして常時水を用意しておくこと、などである。

 猫の場合、尿を砂にするので砂が固まってしまい、尿の色とかは判断しにくいかもしれませんが、トイレの時間が長かったり、時間が長いのにそんなに出ていない、何回もトイレにいくというような症状が見られたら、早めに動物病院へ行った方が良いでしょう。

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