第5回
避妊・去勢手術

 犬猫の避妊手術・去勢手術はみなさん聞いたことがあるでしょう。それは単に子供が生まれないようにするためだけでなく、他にもいろいろな効果があります。発情時に家に入れるから手術は必要ない、手術すると弱くなる、子供を産ませてから手術すべきといった誤った噂が根付いていることも事実です。これを読んですこしはそういう噂がなくなってくれればうれしいです。


 まだ生まれて間もない、あどけないしぐさの子犬・子猫達も、身体の成長に伴い、やがて性の成熟が訪れます。性の成熟は自然なものです。そして同時に発情・生殖行動と言った性行動も、当然見られるようになります。
 しかし、飼い主であるあなた自身が子犬・子猫は育てる意思がない、あるいは住宅や家庭、その他の事情などで育てられないのであれば、その「自然な性行動」も飼い主がコントロールする必要があります。あなたが子犬・子猫を望んでいないのであれば、去勢・避妊について考えてみてください。
 「去勢・避妊手術はかわいそう」「自然のままが一番」といった意見があるのも事実です。しかし偶発的な妊娠を避けるため、完全に異性との接触を遮断することができたとしても、その自然な本能である発情や生殖、雌を追う雄の習性まで抑えることはできません。そのため、むやみにストレスを与えることにもなります。
 また、去勢・避妊手術は望まぬ子犬・子猫を増やさないという目的以外に、病気の予防や行動・性格面でプラスとなる効果もあります。



雄犬の去勢による効果

健康面での効果 前立腺の病気や精巣・肛門周辺の腫瘍、
会陰(えいん)ヘルニアの予防になる。
行動・性格面での効果 攻撃の低下、性格が穏やかになり、
しつけもしやすくなる。尿のマーキングが減る。

雌犬の避妊による効果

健康面での効果 望まない妊娠を防ぐことができる。子宮蓄膿症、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、鼠径(そけい)ヘルニアなどの予防になる。
行動・性格面での効果 発情の煩わしさが解消される。
(発情時の出血、雄犬がよってこなくなる、など)

雄猫の去勢による効果

健康面での効果 前立腺の病気や精巣などの腫瘍の予防になる。他の猫とのケンカが少なくなることで、外傷・ケガが減り、猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)に感染する可能性が低下する。
行動・性格面での効果 攻撃性の低下、性格が穏やかになり、しつけもしやすくなる。
尿のマーキングが減る。(部屋のあちこちの、壁など垂直なものに尿を吹き付ける行為をスプレーと呼んでいますが80〜90%の雄猫に対して防止する効果があります。)

雌猫の避妊による効果

健康面での効果 望まない妊娠を防ぐことができる。子宮蓄膿症、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍などの予防になる。
行動・性格面での効果 発情の煩わしさが解消される。(発情時の異常な鳴き声がなくなる、など)子猫の時期の幼い性格が維持される。

 去勢・避妊手術は、安全でほとんど心配のないものです。また、上記のような健康面での効果もあり、去勢・避妊手術を受けさせた犬・猫は、受けていない犬・猫に比べると長生きする傾向にあります。

 望まれずに生まれる子犬・子猫は捨てられたり、安楽死させられたり、悲しい結果にしかなりません。また、野良犬や野良猫を増やすことにもなり、このことは日本でも現実の問題として存在しています。
 

方法&時期

 手術の時期は、雄なら犬・猫ともワクチン接種が終了した5ヶ月くらいから。雌なら6ヶ月くらいが良いでしょう。雌の場合、初回の発情が来る前に避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生を100%予防できます。
 手術方法は、すべての手術とも全身麻酔をかけて行います。雄の場合は睾丸を摘出。雌の場合は開腹して卵巣および子宮をすべて切除します。雄雌とも手術当日に退院できますが、希望があれば1泊入院も可能です。料金的なことはお問い合わせください。

 



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