第11回
ネコ白血病ウイルス(FeLV)について

●この病気にかかると、助ける手段はなく、ほぼ100%(3年以内に80%との報告があります)の猫が、このウイルスによる免疫不全(病気に対する抵抗力の低下)や悪性腫瘍(肉腫やガン)で死亡してしまいます。

●このウイルスは感染した猫の排出物(唾液、尿、その他体液)によって感染します。空気伝播の感染は多くなく、闘争(ケンカ)による外傷(噛み傷)と口や鼻への直接の接触が最も多い感染源と思われます。それはこのウイルスが唾液に多く存在するからです。

●国内の調査によると、ウイルスを排出している猫は、健康に見える猫の6%、何らかの症状を示している猫の17%と言われています。

●このウイルスに感染しているかどうかは、血液検査によって判定できます。検査を受けていない猫は早めの検査を受けることをお勧めします。また現在はこの病気に対する予防接種もあります。陰性と判定されたら、接種することもお勧めです。

症状

 初期には元気がなく、食欲不振や発熱などが見られる。 抵抗力の衰えから、傷が治りにくい、口内炎ができて治らない、リンパ腺が腫れてくるといった症状が現れます。そのうち痩せてきて、鼻、唇、舌が白っぽいといった貧血がみられます。末期になると全身のリンパ節に腫瘍ができて死にいたります。

治療方法は?

 現在ウイルスを殺せる薬はありません。そのため様々な治療方法が試行錯誤されてきましたが、はっきりとした効果が判定された療法はありません。
 抗炎症剤や免疫抑制剤、化学療法剤の併用、症状にあわせて解熱剤、整腸剤、制吐剤、利尿剤、点滴や栄養剤の投与などの対症療法を行います。また、インターフェロンが用いられることもあります。

もしウイルス陽性の判定が出たら?

 猫白血病ウイルスが陽性でも、病気の発症を示しているものではなく、ウイルス保菌猫と言うことです。しかし陽性の猫は、免疫力(病気と戦う力)が低下しているため、病気に罹りやすい状態になっています。もし病気が発症すると、予後が非常に悪いことが多いです。通常陽性の猫は、2〜3年以内に多くの場合、病気が発症しているようです。それだけに陽性の猫は、3ヶ月ごとの血液の再検査が必要となります。最も注意すべき点としては他の猫との直接の接触を避けることです。特に初回の陽性は1ヶ月後、本当に陽性なのかを確かめる必要があります。

愛猫をウイルスから守る!

●原因ウイルスとの接触を避けること
 このウイルスは唾液、尿、母乳、血液からの感染ですので、これらの直接の接触を避けるようにします。そのためには、猫白血病ウイルスの陽性の猫との接触を避けることです。猫が外に出て他の猫とケンカをし、もしその猫が白血病ウイルスを持っていれば、感染する機会が増大します。もし多数の猫を飼育していて、その中に猫白血病ウイルス陽性の猫がいれば、同じく感染する機会が増大します。

●ウイルスの発生の機会を少なくすること
 重要なのは、予防接種をすることです。猫が外にでれば、当然感染の機会が増加します。また多頭飼育の場合も感染の機会が増加します。多頭飼育の場合は、定期的に検査をして、陽性と陰性の猫に分けて飼育する必要があります。また新しい猫を仲間に入れる場合は、一定期間隔離して、その間に検査をする必要があるでしょう。

●ウイルスに負けない抵抗力をつけること
 猫自身が健康で、丈夫であれば、たとえ猫白血病ウイルスの保菌猫に接触しても、程度にもよりますが、かかりにくくなることがあります。なによりも猫を、定期的に検診して、各種の予防接種をしたりして、病気にかかりにくい体質にしましょう。

●猫白血病の予防接種(ワクチン)を受けること
 現在の猫白血病ウイルスの予防接種の問題点として、ワクチン誘発性の腫瘍(繊維肉腫)の問題があります。これは、1000頭〜10000頭に1頭の割合で起こるとされています。また、この問題は獣医師と、猫の飼い主の方の協力によって防ぐことができます。大事なことは予防接種後、その接種した部位がどうなっているか、注意深く見守る必要かあります。

 



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