第12回
猫エイズ(FIV)について

 前回、猫白血病ウイルスを書いたので、次は猫エイズにしようという単純な理由なのですが、猫エイズについていろいろ調べていくと、日本は世界的にみても猫エイズ蔓延している国らしい。確かに動物病院という現場では最近よく見られる病気、多い病気のうちの一つになっているという気がしてならない。
 ただ、この猫エイズは感染経路がわかっているため、予防するということが可能です。それには飼主さんの理解が必要ですが・・・

猫エイズってなんだ?

 猫エイズは、ネコ免疫不全ウイルスの感染によって引き起こされる、免疫機能の低下を特徴とする病気です。一般に「猫エイズ」と呼ばれる病気ですが、 人間のエイズウイルスとは違うウイルスが原因で、人や他の動物に感染することはありません。
 猫エイズウイルスに感染すると、最初の数ヶ月軽い感染症(風邪を引いたり下痢をしたりします)を引き起こす急性期を経て、次第に無症状キャリアーという状態になります。幼弱で抵抗力の弱い猫や、既往症を持っている猫は急性期に死亡することもあります。無症状キャリアーの時期は症状は出ていなくても、ウイルスはしっかり猫の体内で活動しており、ゆっくりと病態は進行しています。この時期は4〜5年。場合によっては10年以上続きます。またウイルス増殖は続いており、他の猫への感染源となるので注意が必要です。
 無症状キャリアー期に進んだ病態が一定限度を超すと免疫不全症候群いわゆるエイズを発症してきます。この時期一番多い症状は口内炎です。そのほかにも怪我がなかなか治らなかったり、目やにや鼻水をいつも出しているようになることもあります。これらは全て抵抗力の低下が原因です。慢性の下痢を引き起こし次第にやせ細り最後には死に至ります。感染からここまで最短で5年ほどと言われています。
 発症した場合は対症療法という形になり、ウイルス自体に対する有効な治療法は確立しておらず、極力ストレスを与えないようにして栄養状態を良好に保ち、抵抗力の維持につとめて発症を出来るだけ遅らせることしか有りません。

感染経路は?

 感染源は、猫白血病ウイルス同様、すでに感染している猫から です。この猫達と接触することで感染が成立します。このウイルスは、感染力が弱いので粘膜の直接的な接触や汚染血液との接触等の直接的接触でうつります。空気感染などはしません。性交渉での感染確率は低く、1番多いのは喧嘩 によるものです。多頭飼育でいつもお互いを舐め合っている猫同士でも感染が成立することが知られています。この場合は、唾液による感染です。また親猫のどちらかが感染している場合、子猫が先天性FIVに感染していることがあります。

予防方法は?

 1番多い感染ルートは喧嘩によるものですから、猫同士の接触を避けるのが良い方法となります。すなわち、猫を外に出さないことです。どうしても外に出てしまう場合や、同居猫がエイズキャリアなので接触が避けられない場合は猫エイズワクチンの接種が有効です。ワクチンは70%以上感染を阻止できたという報告があります。1年目は2〜3週間おきに3回の接種が必要で、2年目からは1年に1回の追加接種が必要になります。

もしかしてFIVかも?〜陽性だったら

 猫エイズに感染しているかどうかは、動物病院での血液検査によって知ることができます。この病気は発症さえしていなければ、外見からの判断がしにくいものであるので、問題としては、 飼い主が感染に気が付かない。それによってFIVの猫を野外に放っていることが多く、それがエイズ蔓延の原因という現実です。血液検査の結果、感染していたら以下の点に注意します。

1.完全室内飼いにする・・・感染猫を自由に外出させることで他の猫と接触し、さらにエイズ感染猫を増やしてしまうことになります。特に発情時期に外に出たがる猫が多いことから避妊・去勢手術を実施し、戸外に出さないように飼うべきです。また、猫エイズによってさまざまな病気になりやすいため、混合ワクチンも接種しておいた方が良いでしょう。

2.複数猫を飼っている場合・・・他の猫とは別の部屋(もしくはケージで隔離します)で生活させます。食事皿・トイレなど専用の物を用意します。世話の際にはこまめに手を洗いましょう。これは、「他の子に感染したらどうしよう?」という不安を取り除く為に必要ですが、あまり神経質にならないように。また、出来ればあなたの目の届くときはケージや隔離部屋から出してあげる時間を作ってあげてください。

まとめ

 発症しなければ、普通に生活できるのが猫エイズです。猫エイズを発症させないためには上にも書きましたが、『極力ストレスを与えないように』という記載があります。ここで注意していただきたいのが、猫にとって自由に外出することが人間と同じようにストレス発散になっているのか??ということです。これには賛否両論あるかも知れませんが、外に出ることで他の猫や車などの外敵が多く、逆に猫にとってストレスが溜まる要因になると思います。そういう意味では猫にとって、一番安全なのは 飼い主さんの家の中ではないでしょうか。もう外を自由に出歩く飼い方は昔の飼い方だと思ってください!それは愛猫のためでもあるのです。

 



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