第13回
歯石について

 犬や猫の口の中をのぞいて見ましょう。歯の表面が茶色く変色していたり、口臭がするということはないでしょうか?犬や猫の歯は虫歯になるということがほとんどありません。しかし、歯石・歯垢の付着によって歯肉炎・歯槽膿漏などの歯周病に犯されてしまいます。そのまま放置すると悪化し、歯が抜けてしまう可能性もあります。今回は歯周病の原因や全身に及ぼす影響、治療について紹介します。

原因

 歯垢は、食渣(食べカス)と唾液から出来ています。歯垢が長期間にわたって付着しつづけると歯石となってしまいます。缶詰タイプの食餌や人間食など柔らかい食餌を食べていると食渣(食べカス)が、口腔内に残りやすくなります。近年、ペットの寿命は著しく延びてきています。これにより、歯周病にかかる動物が増加しています。また、特に室内犬(小型犬)に多く付く傾向があります。それは小型犬の場合、乳歯が残っていたり、不正交合が多いということも挙げられます。歯垢・歯石は、唾液腺開口部がある前臼歯と呼ばれる一番手前の奥歯につきやすい傾向があります。

乳歯(上顎犬歯)が残っているため歯垢がつきやすい状態となってしまう。


画像協力 石川ダイキチちゃん



全身に及ぼす影響

 @歯肉炎
歯や歯茎の間には、歯周ポケットと呼ばれる隙間に歯垢や歯石が入り込み炎症を起こします。食事をするときに、痛みを伴なうために勢いが悪くなったり、よだれが続いたり、口臭がきつくなります。

 A心臓、肺、腎臓、消化管への影響
歯石には非常に多くの雑菌が繁殖しています。この雑菌が、血液中に入り込むと心臓では細菌性心内膜炎、肝臓では肝炎、腎臓では間質性腎炎、骨では骨髄炎、関節に入ると関節炎などいろいろな病気を引き起こし、これらが原因で死亡することがあります。また、細菌が食物とともに消化管内に入ると、慢性的な下痢や嘔吐を起こす可能性もあります。ゆえに毎日の歯磨きや早めの歯石の除去が必要なのです。

 B口腔鼻腔ロウ管
歯肉炎が進行すると、あごの骨に食い込んでいる歯根部が腐り始め、膿がたまることがあります。膿が眼の下や下あごに出てくる場合を口腔鼻腔ロウ管といい、手術を施さなければなりません。

予防

 家庭における歯の管理は、ブラッシングする事から始めます。これにはまず口をあけさせるよう動物を慣らす事から始めます。恐怖を与えないよう、ごほうびと組み合わせてゆっくり行ってください。飼主も恐怖感を持たないで下さい。

 次に、人さし指のまわりに清潔なガーゼ(指サックのようなものにブラシがついているのもあります)をまきつけ、そして別の手でやさしく上唇を持ち上げて歯を露出させます。ガーゼをまいた指を新鮮な水道水または歯磨き液(人間用歯磨き剤を使いますと苦味のため、唾液分泌過剰となったり飲み込んだ場合胃腸炎を起こしたりしますので使用しない)に浸して歯肉も含めて歯をやさしくこすります。

また、ドライフード(ヒルズ社t/dなど)を与えたり、市販のペット用ロープ・ガムなどを噛ませるのも歯石を取り除いたり予防するのに役立ちます。

治療方法

全身麻酔を施し、歯石除去処置前。すべての歯に重度に歯石がついているのがわかる
超音波スケラーをつかって歯周ポケットの歯垢もすべて取り除く
処置終了。3本の臼歯を抜きました
画像協力 大釜メゴちゃん

 歯石・歯垢の除去は、全身麻酔を施します。歯石除去以外にも抜歯や歯肉切除整形が必要であったりします。歯石除去をしたからといって安心していては、またすぐに付着したり歯肉炎を起こします。除去の後こそ、毎日の予防が大切なのです。

 



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