第16回
外耳炎

 ワンちゃん、ネコちゃんの耳の中を覗いて見ましょう。耳垢がたまっていませんか?嫌なにおいがしていませんか?足で耳の辺りを掻いてはいませんか?このような症状が1つでもあれば、外耳炎が疑われます。外耳炎はすべてのワンちゃんの20パーセントが罹患しているという報告もあり、動物病院に来院する理由のトップとなっています。
 ワンちゃん、ネコちゃんの耳は心理状態をよく反映します。眠っているときでさえ少しの物音で反応し、耳だけ動かします。そのため、外耳炎に罹患すると性格まで歪んでくることもあります。人間以上に、動物の耳は鋭敏な感覚器官といえるでしょう。


症状


 耳を引っ掻く、痛がる、頭を傾ける、あるいは頭をしきりに振るといった症状がみられ、時には悪臭や排膿を伴います。放っておくと繰り返し頭を振ったり、後ろ足で引っ掻くことで耳を傷つけ、耳軟骨と皮膚の間に血液が溜まって腫れる耳血腫となることがあります。また長期にわたる外耳炎では、皮膚のヒダがカリフラワー状に肥厚し耳道の閉鎖が認められ、このような場合全身麻酔による外科的処置が必要になります。


原因と治療


 外耳炎は一般に細菌や酵母菌の感染によって発生します。ワンちゃん、ネコちゃんの耳の構造はヒトとは異なり、耳道が乾燥しにくい状態になっています。そのため、耳道内の通気性が悪く、耳の中が湿っぽくて暖かくなり、また油や脂肪を含んでいるため、細菌やカビの発育に理想的な環境となり、外耳炎が好発します。
さらに、垂れ耳の犬種、外耳道に毛が生えている犬種(マルチーズ、プードル、シュナウザー、ヨークシャテリア、シーズーなど)は、さらに耳道が乾燥しにくいため、外耳炎の発生率は上昇します。また、シャーペイ、ラブラドール・レトリバー、スプリンガー・スパニエル、コッカー・スパニエルは、耳の構造が特殊なため、他のワンちゃんよりも外耳炎に罹患しやすいようです。

具体的な要因として以下のようなものがあります。

1.耳ダニ

耳ダニは子犬や子猫においてよくみられ、なんとネコちゃんの外耳炎の約50%は耳ダニによるものです。耳ダニの治療は、耳ダニを一匹残らず駆除することにほかなりません。成虫を駆除しただけでは、耳の中に産卵している卵がかえり成虫となり、すぐに再発してしまいます。そのため、完全な治癒には3〜4週間を要します。

.細菌感染および真菌感染

 

耳垢を染色し顕微鏡で拡大して観察すると、左図のような写真が得られることが多々あります。左図は、細菌感染による外耳炎です。重度に感染すると、排膿する場合があります。右図は、真菌(Malassezia)感染による外耳炎です。プーンとする芳香臭が特徴的です。これらの感染の治療は、外耳道を洗浄し清潔にしてあげてから、お薬を点耳する必要があります。


3.アレルギー

最も一般的な外耳炎の原因は、アトピーや食物アレルギーなどのアレルギー疾患です。アトピーのワンちゃんにおける外耳炎や耳の痒みの発生率は86パーセントにも及ぶと言われています。また、食物アレルギーのワンちゃんの80パーセントは、両側性の外耳炎であるといわれています。細菌感染および真菌感染を伴っている場合も多いようです。治療は、6〜10週間の低アレルギー食の試用から開始します。症状の改善が認められたら、長期にわたっての食事のコントロールが必要になります。

まとめ

 何度も言うようですが、外耳炎はワンちゃん、ネコちゃんの病気の上位を占めています。予防には、こまめに耳の中を観察し、定期的に洗浄してあげましょう。外耳道に毛が生えている犬種(マルチーズ、プードル、シュナウザー、ヨークシャテリア、シーズーなど)は、毛抜きを行うことが重要です。外耳炎を疑う症状があれば、早期に受診することをお勧めします。

 

 



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